12article

 

今年の労働者災害補償保険法の法改正のひとつに「複数業務要因災害」というものが新設されたことを挙げることができます。

「複数事業労働者」とは、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者を言います。そして、「複数業務要因災害」とは、この複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由による負傷、疾病、障害、死亡等のことを指します。

 

これに伴い、目的条文も、下記に改正されました。

 

労働者災害補償保険法は、業務上の事由、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という)の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 

どういうことかというと、例えば、A社で1カ月の労働時間が160時間、B社で120時間だった場合、A社、B社のそれぞれでは、時間外労働は発生していませんが、A社とB社の労働時間を足すと、月280時間労働しており、事業主が同一であれば、時間外労働が発生していると認められていたはずです。

このような場合に、脳疾患や心臓疾患を患っても、時間外労働が0であるため、業務起因性は弱いと評価されてしまいます。そこで、新設されたのが、事業主が同一でない複数の事業場で働く複数事業労働者のために複数業務要因災害です。

 

そろそろ学習された方も多いのではないでしょうか。

 

それにしても、これって今どきですよね。

ちょっと前までなら、会社の就業規則に「兼業禁止」の規定があって、副業に就くことを禁じられていた会社が多かった。だから、こんな規定は必要ありませんでした。しかし、リーマンショックや東日本大震災を経て、会社が社員の副業を認める傾向が強くなってきました。それでこのような規定が新設されることになったわけです。

 

法律も時代の変化とともに生きているんですね。