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労働の対償である「賃金」とは異なり、「退職金」は必ず支払わなければならないものではありません。言い換えれば、労働基準法等の法律には「退職金を支払わなければならない」のような規定はなく、支払うのも支払わないのも、会社の裁量ということになります。では、どのような場合に支払わなければならないのか。会社に退職金の支払い義務が生じるのは、次の2つの場合です。

 

①就業規則(退職金規程)に退職金を支払う旨が規定されている場合
②退職金の支払いについて明確になっているものはないが、退職金の支払いが慣例化している場合

 

ボクが大学を卒業して就職したころは、いわゆるバブル期で、どの会社もやたらと羽振りが良かったんですね。そのときは、この「バブル」が崩壊する日が来るとは思っていなかった。だから、どの会社の「退職金規程」も羽振りが良かったんです。

 

ところが、景気が悪くなってからは、バブル期のようにお金に余裕がありません。どの会社も、存続のために切り詰めなければならなくなりました。結果、負の遺産として残ったのが、バブル期の「退職金規程」です。

 

就業規則に規定したことを、社員側の不利益に変更することは容易なことではありません。就業規則の不利益変更には、社員の同意等、たくさんの高いハードルがあります。つまり、古い退職金制度に則って退職金を支払えなくなったからといって、新しい退職金制度を作成し、これに則って退職金を支払うなんてことは難しいということです。
その結果、つぶれた会社も、多々あるという話を聞いたこともあります。

 

退職金制度については、会社の規模によっても異なりますし、業種によっても異なるかもしれません。例えば、中退共を利用したり、確定拠出年金を利用したりすることもできます。いずれにせよ共通することは、退職金制度については、長いスパンで考えて構築しなければならないということです。いまが良くても、20年後、30年後にどうなっているかわかりませんからね。

 

また、社労士というと、どうしても労働法や社会保険法など、法律関係に目が行きがちですが、過去にどのような会社が、どのような失敗をしたのか。その失敗はどのような方法で防ぐことができたのか? 法律以外のデータや知識も必要になります。

 

退職金制度に関連することに限りませんが、社労士に必要なのは、法律知識だけではないということです。

 

 

 

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→社労士の仕事とは
 

 

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