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「就業規則を作りましょう」
そう提案すると、
「そんな社員の権利ばかりを明記するわけにはいかない」
と、多くの社長は、あまりいい顔をしません。
確かに、 労働基準法は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と届出を義務付けています。言い換えれば、常時10人未満の社員を使用する使用者に関しては、就業規則の作成・届出は義務ではありません。

 

だからといって10人未満の会社に就業規則は不要なのでしょうか?
もちろん、答えはノーです。

 

例えば、経理部の社員が会社のお金を使い込んだとします。
社長は当然のように、
「経理部の社員が会社の金に手を付けるとは何事だ! 御前なんぞ懲戒解雇だ!」
と怒鳴りつけるでしょう。
しかし、多少労働法の知識を持っている社員であれば、こう返してくるかもしれません。
「根拠は?」
「根拠って……、そんなの常識だ!」
もしもし? 常識がある社員だったら、会社のお金を使い込んだりしませんよね。ここで常識論をかましても仕方がありません。
結局、社長が言うところの「懲戒解雇にする」根拠がなければ、社員がどんな悪いことをしようが「普通解雇」にせざるを得ないということです。「普通解雇」ということは、ご丁寧にも慣例に従って(就業規則がないのですから、この会社には慣例しかありませんね)退職金を支払わなければなりません。

 

ここで重要になるのが就業規則です。
懲戒解雇を行うためには、会社に就業規則があり、その就業規則に制裁の規定があり、「会社の金を使い込んだら懲戒解雇である」旨が明確になっている必要があります。
もちろん「一度でも遅刻したら解雇」のような非違行為の内容と制裁の内容のバランスがとれていない規定は論外ですが、就業規則に、このような規定があるからこそ、社員に対して抑止力が働きもしますし、懲戒解雇も可能となるのです。

 

言い換えれば、就業規則は会社を守るためのものでもあるんですね。そこら辺をよく理解してもらえれば、10人未満の会社にもいかに就業規則が必要かわかっていただけることと思います。

 

 

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